人工授精の成功確率はどのくらい?35歳以上は・・・
高齢出産時の人工授精の成功確率は?40歳以上は・・・
人工授精とは不妊治療の1つで、人工的に精子を子宮内に入れることで、自然妊娠に近い形での妊娠をめざす方法であり、主に男性側が原因となる不妊症に対応した治療法です。
通常、不妊治療の最初にはタイミング法に取り組むことになりますが、タイミング法を何度か繰り返しても妊娠しないときや、夫婦の年齢が高く、早く不妊治療を進めたほうがよい場合においては、人工授精の治療法が選択されます。
この人工授精の成功率は、一般的に、一度で5~10%程度といわれているようです。
不妊治療のファーストステップで行うタイミング法の成功確率が約3%
タイミング法と比較しても、あまり高いとはいえないと思います。
そのため、結局5~6回程度人工授精を受けることになる方も多いようですが、5~6回人工授精を試みても妊娠に至らなかった場合は、次のステップとして、体外受精を薦められることもあるようです。
また、人工授精で妊娠ができた人の殆どは5~6回以内、特に1~2回目で妊娠をしているケースが多くなっているようです。
ちなみに、ある医院での平成20年の全妊娠数766例において、不必要な治療を施さずに、必要最低限の治療で妊娠を目指した結果、妊娠に至った治療法の割合は、以下の通りとなっています。
- 一般不妊治療薬(タイミング指導):45%
- 人工授精:21%
- 体外受精&顕微授精:34%
ただ、この治療成績をみる場合、治療方針や治療法別実施数を確認することが重要であり、タイミング指導を、必要な(妊娠が期待できるであろう)回数実施しないまま、人工授精に移行すると、必然的に妊娠率は高くなりますし、同様に、人工授精を必要な回数実施しないまま、体外受精に移行すると、必然的に妊娠率が高くなるので、データを比較する際は注意が必要です。
人工授精の周期あたり妊娠率は5.9%となっています。
また、この医院では平成16~20年の間に、10420周期の人工授精が実施され、619の妊娠が成立したため、人工授精の周期あたり妊娠率は5.9%となっています。
周期あたりの年齢別妊娠率を見てみると、女性の年齢が、20歳代の場合で10%、30歳代の場合で7.9%となっています。
また、周期あたり注入精子数別妊娠率でみると、注入精子数が100万以上の場合における妊娠率は7.9%となっています。
さらに、患者あたりの妊娠率は30.8%となっています。
全症例の周期あたりの妊娠率でみると、その妊娠率は低くなっていますが、年齢や注入精子数によって妊娠率は左右されます。
5~6回人工授精を繰り返しても妊娠しなければ、体外受精へのステップアップ
人工授精は体外受精と違い、周期あたりの妊娠率はそれほど高くはありませんが、身体への負担がほとんどないこと、また、費用もそれほど高額でないことから、毎周期受けることが可能です。
一般的な考え方は、前述の通り、5~6回人工授精を繰り返しても妊娠しなければ、体外受精へのステップアップを検討するのが普通となっています。
しかし、人工授精の回数と妊娠率をみてみると、回数を重ねると、確かに妊娠率は、徐々に低下していきますが、9回目くらいまではそれほどには落ちないというデータもあります。
したがって、どうしても体外受精に抵抗を感じるカップル、経済的に体外受精を受けるのが困難なカップルにとっては、人工授精を繰り返すというのも現実的な選択肢ということができます。
それぞれのカップルにおいて、どんな不妊治療が必要なのかは、その施設によって、また、担当のドクターによっても、考え方は驚くほど違ってしまいます。
大切なことは、カップルの二人が納得の行く治療を受けることだと思います。