人工授精の平均的な治療費用は?
人工授精の費用は、患者ごとの治療内容によって異なります。
人工授精とはその名前から、非常に人為的に妊娠を操作するような印象を持つことが多いと思います。
しかし、実際はそうではなく、人工授精とは男性に精液を提供してもらい、パートナーの子宮内に注入することをいい、その方法は、細いチューブで精子を女性の子宮、あるいは卵管へ直接、人工的に送り込む方法となっています。
この人工授精という治療はおもに精子に問題がある場合、もっと正確に言うと、精子の数が 少ない場合や、運動率が低い場合が最も適応となります。
ちなみに、正常な男性の場合、精液量は1.5~4.0ml、精子濃度5000万/ml以上ですから、通常の射精1回 あたり7500万~3億程度の精子が射精されることになりますが、人工授精を行うためには4000万程度の精子が必要と言われています。
精子濃度が1000万/ml以下の場合や、精子無力症という精子の運動率が極端に悪い場合には、体外受精を考えることになります。
治療例では1周期目は2回通院、2周期目は4回通院しています。
人工授精の費用は、患者ごとの治療内容によって異なります。
下記に1周期目に必要な検査を行い、2周期目に自然周期排卵で人工授精を行った治療例を示します。
ちなみに、人工授精は、保険の適用ができないため、自費診療となり(1回17,000円)、治療例では1周期目は2回通院、2周期目は4回通院しています。
1周期目:超音波エコー検査(1~2回)、ホルモン検査、感染症スクリーニング検査、精密検査を行い、治療費の合計は約20,000~25,000円となります。
2周期目:超音波エコー検査(2~3回)、排卵診断薬検査、人工授精+精液検査(AIH用)、黄体管理を行い、治療費の合計は約24,000~26,000円となります。
したがって、2周期の治療費合計は約46,000~51,000円となります。
ただ、前述の通り、人工授精の費用はすべて自己負担で保険がきかないため、病院の自由診療扱いになり病院が金額を決めるため、病院ごとにその治療費に大きくばらつきが出てしまうようです。
したがって、人工授精の費用の平均的な相場とすると、治療1回あたり約10,000~30,000円くらいとなるようです。
排卵から次の排卵までの1周期あたりの妊娠確率は10%未満とされており、4~5周期、つまり人工授精を4~5回繰り返すと妊娠率は20%くらいまで上がるといわれています。
ただ、それ以上人工授精による治療を繰り返しても、あまり人工授精による妊娠率はあがらないそうなので、5回繰り返しても妊娠しない場合は次のステップである、体外受精にうつる方が多くなっているようです。
5回人工授精を繰り返したとすると、その費用は約50,000~150,000円程度となります。
この金額内で妊娠することができれば、それほど大きく家計を圧迫しないのではないでしょうか。
しかし、人工授精は、その妊娠率の低さから10回程度すすめるという医師もいるようですので、妊娠に成功せずに、人工授精の回数を増やすという場合には、自身の家計とも相談して計画的に治療を進めるようにしましょう。