中には激痛を感じる人もいる？？

人工授精における治療法は、基本的に体を切開するような治療ではなく、採取した男性の精子を女性の子宮に注入する不妊治療です。
そのため、多くの病院では痛みや出血はほとんどないとしていますが、中には激痛を感じる人もいるようです。

人工授精において、精子を子宮内に注入する方法には、精液の原液のまま注入する方法と、精液を洗浄して動きの良い精子を選別した後で注入する方法の2つの方法があります。

この2つの方法のうち、精液を原液のまま注入する方法では、精液に含まれるプロスタグランジンという成分が子宮の痙攣を引き起こしてしまい、強い痛みを感じるということがあるようです。

精液を洗浄して動きの良い精子を選別した後で注入する方法では、精液が洗浄されるため、プロスタグランジンは除去され、子宮の収縮に伴う痛みを感じないことが多いようです。

痛みに敏感な人は、カテーテルが擦れることによる痛みや圧迫感を感じることがあるようです。

人工授精では、精子を直接子宮内に注入するために、カテーテルを挿入する必要がありますが、その際に、痛みに敏感な人は、カテーテルが擦れることによる痛みや圧迫感を感じることがあるようです。
また、このカテーテルと子宮頚管の擦れによる出血が、数日間起こることもあるため、人工授精当日は、出血を受け止められるように、念のため生理用品を持参していったほうがよいでしょう。

また、人工授精では、排卵タイミングに合わせて精子を注入するため、排卵誘発剤を利用して排卵をコントロールしますが、この排卵誘発剤には卵巣が腫れるという副作用があります。

そのため、人工授精を行なった後で、生理痛のような痛みが現れることがあります。

この影響により、人工授精中に感じる痛みとは別に、人工授精が終わってしばらくしてから痛みを感じるということもあります。

実際に人工授精を行った方の体験談は？？

実際に人工授精を行った方の体験談によると、その治療時の痛みについては、
「1度臨月で死産しているせいか、子宮口が比較的やわらかく、痛みは全く感じませんでした。」

「自転車でクリニックに向かうとき、今までに経験したことのない下腹部痛。AIH終了後はすぐに立ち上がって、自転車で帰宅。まだ下腹部痛。」

「精子はバーコール法で洗浄、濃縮させ、子宮内に注入。内診台にあがって1分もかからず終了。痛みは奥の方が響く感じ。」

「痛みは、注入した瞬間にツーンとした軽い生理痛のようなかんじがしました。」

というような感想があり、やはり人それぞれで異なった意見となっているようです。
また、個々の方々の身体の状況等もそれぞれ異なるため、痛みに関しては一般的な例を示すというのは難しいと思われます。

また、人工授精では、卵巣過剰刺激症候群になるリスクがあると言われています。

卵巣過剰刺激症候群とは排卵誘発剤によって刺激された卵巣が膨張したり、10cm以上に腫れ上がってしまう病気で、肝機能の低下や血圧低下、腎機能の低下などの症状が発生する可能性があり、下腹部の痛みにつながることがあります。

ただ、お腹に水がたまったり、卵巣が少し腫れるくらいの軽い症状であることがほとんどであるため、痛みや出血の心配はなさそうです。
さらに、人工授精のリスクとして、妊娠高血圧症候群になる可能性があることが挙げられます。

妊娠高血圧症候群とは別名「妊娠中毒症」と言われ、女性が妊娠8ヶ月以降になると高血圧やむくみを引き起こすことをいい、この妊娠高血圧症候群になるリスクが高まるのは、人工授精を行うことで双子や三つ子などの多胎妊娠の確率があがることによります。

多胎妊娠の場合、自然妊娠に比べ女性の体にかかる負担が大きくなり、妊娠高血圧症候群になるリスクが高まるということになりますが、この妊娠高血圧症候群においても、この影響による痛みや出血の心配はないようです。

このように、人工授精により、卵巣過剰刺激症候群や妊娠高血圧症候群が発生するリスクはありますが、これらが発生するケースは稀なようであり、また発生したとしても痛みや出血がおこる可能性は低そうです。

また、前述の体験談での痛み発生のケースも稀なケースのようで、ほとんどの方が無痛で安全に人工授精を行っているようです。

ただ、それでも治療時の痛み等が不安な方は、一度、担当医師に相談してみるとよいのではないかと思います。