体外授精後はどうするのが良い?

体外授精後、日常生活で注意すべきポイントには?
体外受精で胚移植をしたあと、できるだけ妊娠率を上げるためにどんな過ごし方をしたらいいのか、生活上の注意点はないのか気になる女性は多いようです。
体外受精の胚移植後の体の変化や、過ごし方、日常生活で注意すべきポイントにはどういうものがあるのでしょうか。
体外受精では、排卵、採卵、体外での受精、胚移植と治療の流れが進んでいき、胚移植の方法にもいくつか種類があります。
そのなかでも、超音波検査で画面を見ながら、カテーテルを使って子宮に胚を移植するという方法が一般的です。
胚移植で子宮に戻された受精卵は、子宮内膜に触れることで透明体と呼ばれる膜が破れ、子宮内膜に「絨毛」という根を張るようになります。
そして、胚移植後は受精卵が子宮内膜に根を張るまでの時間として、病院によって異なりますが、15分~30分程度は病院内で安静に過ごすよう指示されます。
絨毛という根を張った受精卵は、その後さらに2~3日間かけて子宮内膜に潜り込み、固定されていきます。
胚移植後は、着床を助ける理由で子宮内膜を安定的に保つため、しばらくの間、ホルモン剤の投与が行われることが多くなっているようです。
このように受精卵は、ちゃんと絨毛といった根を張った状態になり、さらに、子宮の内部も出入口である子宮頚管もしっかり閉じられていて、簡単に流れ出てしまうことはありません。体外受精で胚移植をすると、ちょっとした動きでも「流れ出てしまうのでは…」と心配する声もありますが、そのようなことはないといえます。
また、アメリカで実施された、ある調査においては、体外受精の胚移植後に女性の体にセンサーをつけて日常生活の動きを調べたところ、運動や生活での動きの激しさと、その後の妊娠率に関連性は認められないという結果が出ています。スポーツなどでよく体を動かしていても、安静にしていても、体外受精の成功率に違いはないということですので、胚移植後の過ごし方で悩むよりも、リラックスして「いつも通り」を心がけるようにしましょう。
このように、普通に日常生活を送っているぶんには、着床に影響を与えませんが、何をやってもよいというわけではありません。
まず、胚移植当日は、体外受精の胚移植時に膣内を傷つけている可能性がありますので、その場合、お湯や水に浸かると感染症になる恐れがあります。
したがって、胚移植当日はシャワーのみにしておいたほうが無難です。
また、タンポンを使い続けると雑菌が繁殖しやすく感染症の恐れもあります。
そのため、膣内が傷ついている可能性も考えて、タンポンの使用も控えたほうが無難です。
胚移植後の2~3日は性行為も控えたほうがよいとされています。
また、精液には子宮を収縮させる作用があります。
そのため、すでに着床を待っている状態なら、避妊を忘れないようにする必要があります。
運動に関しては、ウォーキングなどの適度な運動であれば問題ありません。
しかし、体を酷使するような運動はやめるようにし、登山やフルマラソンなどは控えるようにしましょう。
また、実際に医学的に証明されているわけではありませんが、自転車の振動が子宮収縮を引き起こす可能性があるといわれています。
できるだけ、長い時間自転車に乗るということも控えたほうが無難だと思います。
さらに、飲酒は控えて、タバコは禁煙するようにしましょう。
タバコを吸うことやアルコールを飲むことで、ホルモンバランスの乱れや血管が細くなる症状が現れます。
血管が細くなり、狭まるようになると、子宮にも十分な栄養が送れなくなってしまい、胎児の成長を妨げる恐れもあります。
妊娠後のことも考えて、特にタバコについては、妊活中に禁煙することをおすすめします。
その他、2011年に発表されたイスラエルの研究で、219名の女性をグループ分けし、胚移植後にコントやマジック、手品等で笑わせた女性グループの方が妊娠率が高いという研究結果が報告されています。
症例数がまだまだ少ないので今後の研究も気になるところですが、笑いによるストレスの軽減が、少なからず妊娠率に影響したという可能性が考えられます。
このように、胚移植後の過ごし方に注意するよりも、ストレスのほうが妊娠を左右する大きな要因になることも考えられます。
時にはリラックスする時間をつくってストレス発散を行うことが重要です。
普段の暮らしの中で何か気になることがあれば、担当の医師に確認するようにし、胚移植後は不安を抱えないようにすることが大切だと思います。