体外授精(IVF)の成功確率はどのくらい?
35歳以上、40歳以上の場合は???
世界初の体外授精(IVF)は、1978年にエドワード博士とステプトウ博士により行われたものであり、そのため、実は、体外受精の歴史というのは、まだ30年程度しかありません。
しかし、そのたった30年の間に、体外受精だけでなく、顕微授精、凍結融解の技術などの高度生殖医療が発達し、進歩したため、2003年には、体外受精によって産まれた子供の数が1万7400人にもなっており、これは、生まれてくる赤ちゃんのうち65人に1人は体外受精によって生まれてくるという計算になります。
その体外受精の成功率は約20~40%となっています。
不妊治療は、排卵日を予測して性交を行うタイミング法から始まります。
その後、精子を直接膣内に注入する人工授精、卵子を取り出し体外で受精させる体外受精と進み、大きく3つのステップに分かれます。
この不妊治療のなかで、タイミング法は多くの夫婦が取り組む方法で、1回で妊娠する確率は平均で約30%となっています。
しかし、4回目以降まで妊娠していないと、妊娠の成功率は平均で10%前後まで落ち込んでしまうといわれています。
そして、次のステップである人工授精も、すでにタイミング法で妊娠が難しい方が取り組むため、成功率は5~10%といわれています。
そのため、平均の成功率が約20~40%となっている体外受精は、不妊に悩む夫婦の希望になっています。
ただ、体外受精の場合も自然妊娠同様に、妊娠確率は年齢によって異なります。
自然妊娠と同様に、年齢が上がるにつれて妊娠確率は下がり、
25歳頃は成功率が40%ほどありますが、35歳で35%、38歳で30%を切り、40歳で20%以下、45歳になると約5%にまで低下してしまいます。
40歳代で妊娠の成功率が極端に低くなるのは、加齢による卵子の老化や子宮内膜の状態悪化が原因であり、もし体外受精で受精卵を培養できたとしても、着床に至らない可能性が高まってしまいます。
すでに複数回タイミング法や人工授精に取り組んでいるときには、40歳代よりも30歳代、20歳代とできるだけ年齢が若いうちに体外受精を受けてみるという選択を検討する必要があります。
また、体外受精は自然妊娠と比べると、流産率も多少高くなるといわれており、自然妊娠の流産率は約10%ほどですが、体外受精の流産率は約13%と、多少高くなっているようです。
体外受精の成功率を上げるにはどうするのが良い?
体外受精の成功率を上げるには、まずは生活習慣を改善して卵子の老化を防ぐ、子宮の状態を良くして着床率を上げることが大切といわれています。
そのためには、まず、体の「冷え」対策が重要です。体内の血流が悪くなると子宮への酸素や栄養が滞り、子宮の働きが悪くなる可能性がありますので、室内でも外でも体を冷やさないように、靴下を重ね履きするなどして対策しましょう。
次に、偏った食事や無理なダイエットなど、必要な栄養素が不足すると卵子の老化にも影響してしまいますので、妊活中は特に食生活に気を配りましょう。
栄養バランスを考えた食事を心がけ、鉄分・亜鉛・葉酸を積極的に摂るのが良いとされています。
さらに、夜になると分泌されるメラトニンというホルモンが、痛んだ細胞を修復してくれるため、子宮や卵子の老化を防ぐ役割も果たすため、十分な睡眠をとることも重要です。
その他、不妊治療を行っている間は、妊娠できるのか等のいろいろな不安によって、ストレスも溜まりがちとなります。
ストレスが妊娠率に影響するという研究結果もあるため、できるだけリラックスする時間をとるようにしましょう。
適度な運動や友達との会話で笑うことなどもストレス発散に有効とされています。
体外受精は妊娠率が高い不妊治療ではありますが、加齢とともに妊娠の成功率が減少するのは、自然妊娠と同様となっています。
だからこそ、規則正しく健康的な暮らしをして成功率低下を抑えるようにしましょう。
また、妊娠しやすい体を目指すことに加えて、体外受精の方法もしっかり吟味し、自分の体にあった治療法を担当医と選択するようにしていくことも大切です。