タイミング法とは?不妊治療の第一歩!
不妊症は、現在、世界中のカップルの約10%が悩んでいるといわれています。
そのまま待っているだけでは、自然妊娠をするのが難しいため、不妊治療が必要になりますが、その不妊治療にはいくつか段階があり、まず軽い治療からスタートしていきます。
そして、その軽い治療では妊娠できない場合において、治療の段階を進めていくことになりますが、その最初に行われる不妊治療が「タイミング法」です。
不妊治療では、まず不妊検査で不妊症の原因を調べ、女性の年齢を考えながら治療法が選択されますが、女性の年齢が35歳未満の場合、不妊の原因治療と一緒に、タイミング法が選択されます。
ちなみに、年齢が35歳を超えていてタイミング法に時間をかけている余裕がない場合や、明らかにタイミング法では妊娠ができない原因をもっている場合は、最初から人工授精や体外受精等の治療法が検討されるということもあります。
まずは卵周期を基礎体温表で測りながら排卵の時期を予測
タイミング法は読んで字のごとく、「排卵周期を基礎体温表で測りながら排卵の時期を予測して、その時に性行為を持つことにより妊娠に至る」という治療法となっています。
排卵の測定には基礎体温表の他にLHチェッカーという排卵を知るための尿検査キットを活用する場合もあり、これを活用する事でより正確に排卵日を予測することが可能になります。
卵巣の中にある、卵子がこの中にある卵胞は月経後、脳下垂体のFSHと少量のLHの刺激によって大きくなっていき、そして卵胞の大きさが約20mmになると、脳下垂体から一気にLHが分泌されるLHサージの刺激によって卵胞内にある卵子の排卵が促されます。
LHサージ後、約16時間~18時間後に排卵されるということで、その時期に卵管膨大部(卵巣から排卵された卵をキャッチしたすぐ下)に精子が待っている状態が理想的と言われています。
そこで受精が起こるので、排卵と予想される日の前後あわせて3日間、性交渉を持つとよいとされています。
またタイミング法に、クロミッドのような経口排卵誘発剤を組み合わせて治療を行うパターンもあり、特に不妊の原因において、内分泌的な原因が考えられる場合、排卵誘発とタイミング法を組み合わせた治療が行われることが多いようです。
場合によっては、漢方薬や東洋医学系のアプローチで体の調子を整えながら、このタイミング法を行うというドクターもいるようです。
タイミング法は、毎月の生理周期の排卵日にあわせて取り組むしかありませんので、毎月1回、排卵日を予測しながら性交渉を行い、その後に妊娠しているかどうかを確認するという作業を繰り返すことになります。
一般的に、タイミング法の効果が期待できるのは半年~1年で、それ以上続けても妊娠できる可能性は低いといわれていますので、タイミング法を始めたら半年~1年程度、回数にして約6~12回続けることになります。
タイミング法で妊娠できるかどうかは個人差が大きいようです。そ
のため、始めてすぐに妊娠する方もいれば、1年続けても効果が得られないという方も珍しくはありません。
また、男女で協力し合って行う必要があるので、治療が長期に渡ると男性側のモチベーションが下がってしまうということもあります。
タイミング法で妊娠できる確率は、平均すると1回目で30%台、2~3回目で20%台、4回目以降で10%前後とされていますが、精子や卵子の質や年齢等によっても成功する確率は異なってきますので注意が必要です。
タイミング法を続けると、女性にとっては「月に1度のチャンス」ですが、男性にはそれがプレッシャーになることもあり、男性がストレスを感じることは珍しくありません。
1年に12回しかチャンスがない女性の体のしくみを、男性にも理解してもらい、協力してもらえるようにしましよう。
また、「きょうは排卵日」と直前に伝えるのではなく、計画を立てておけば、もしその日がダメでも「次がある」と考えられますので、男性のプレッシャーを軽減することができます。
妊娠を希望する思いが強すぎると、心の余裕がなくなってしまい、逆に子宝を授かりにくくなるものです。
「夜に限らず朝でもいい」など、柔軟に考えてトライするようにしましょう。
タイミング法を試みても妊娠がむずかしい場合がありますが、それは病院で検査をしてはじめてわかるケースが大半となっていますので、そのことを知らずにタイミング法を続けていると、いたずらに時間が過ぎてしまうことになりかねません。
半年から1年間タイミング法を続けてみて、妊娠しなければ、病院での受診を考えてみましょう。
女性が20代~30代前半ならば、まずは半年くらい、自分たちによるタイミング法を試してみましょう。
30代半ばからは、あまりのんびりせずに、その先の治療をどうするかも踏まえて、病院での受診を視野に入れた不妊治療を進めましょう。
月経不順や経血量が多い、月経痛がひどいなど、気になる症状があれば、年齢に関係なく早めに病院を受診するようにし、また、糖尿病などの持病がある人は、病気の影響で妊娠しにくいケースがあるので医師に相談するようにしてください。