卵子提供とは?
卵子の老化は顕著に妊娠率を下げてしまいます
卵子提供とは、第三者から卵子を提供してもらって妊娠を試みる方法で、具体的に、病気によって卵巣を摘出した人や早発閉経などで排卵がなくなってしまった人が対象となります。
その他、何度か体外受精を試みても妊娠できなかった場合や、卵子側に問題があると認められた場合にも、卵子提供は行われることがあります。
卵子の老化は顕著に妊娠率を下げてしまいますので、これが、女性の年齢が上がれば上がるほど妊娠しづらくなる一番の理由といって良いと思います。
そのため、卵子がまだ若いフレッシュな状態にある人から卵子を提供してもらおうというのが卵子提供となります。
その実施例としては、40歳を越えて中々妊娠できない女性が、20代前半の女性に卵子を提供してもらい、パートナーの精子との間で体外受精して、受精卵を自らの子宮に入れるというケースになります。
例えば閉経後でも条件が整えば妊娠が出来ますし、重い卵管障害を持っているという方でも、この卵子提供による体外受精で妊娠出産できる場合があるのです。
日本国内では条件が厳しく規定されているので難しい
この卵子提供ですが、現状、日本国内で卵子提供を受けるには、親族や知人に卵子提供者がいなければいけないなどの条件が厳しく規定されているので難しいといえます。
また日本国内では、卵子提供を実施できる指定の医療施設が少ないなどの課題もあり、これまでに数十件程度の実施例しかありません。
さらに、日本国内では、匿名の第三者から提供された卵子提供は受けられず、年齢による卵子の老化を理由に受けることもできません。
そのため、日本以外での卵子提供の道を選ぶ人もいます。
そもそも日本では卵子提供に関する法律や制度が十分に整っていないため、病院が個別に対応している状況であり、不妊治療専門のクリニックなどが集まって、「JISART(日本生殖補助医療標準化機関)」という団体を作り、独自のガイドラインを定めて卵子提供を行っているような現状となっています。
海外には日本とは違い、不妊治療の一環で卵子提供を行っている国があります。
したがって、日本から卵子提供を受けるために渡航する人は年々増加しているといわれており、その卵子提供を受けられる国として、日本からの渡航者が多い国としては、アメリカやタイ、台湾などが挙げられます。
日本国内には卵子提供治療をサポートするエージェントがいくつかあります。
そこでは、ドナーの選定や医師の紹介、渡航の手続きなどを請け負ってくれています。
海外渡航による卵子提供では、1~2回ほどの渡航で卵子提供者との契約や様々な検査を行い、体外受精による移植までを受けます。
そのため、1回の移植で3~4ヶ月ほどかかるといわれます。
卵子提供対象患者様の多くは、加齢などの原因により卵巣機能低下が認められた方で、過去に自己卵子によるIVFを複数回繰り返しても結果が出なかった方達です。
具体的には、次の診断・所見・経過等があった患者様が卵子提供対象者となります。
加齢による卵巣機能低下、
複数回にわたる自己卵子IVF不成功、
排卵誘発しても卵胞が育たない、
採卵できても空胞、
採卵できても受精しない、
受精しても胚盤胞まで育たない、
着床しない、
自己卵子IVFの結果初期流産を反復、
早発閉経(ターナー症候群を含む)、
自然閉経、
卵巣摘出、
高FSH値/低AMH値、
子宮内膜症/卵巣嚢腫/チョコレート嚢腫など(重度)、
染色体転座、
脆弱X症候群、
また、普段の生理の有無は不問となっています。
卵子提供の成功率は、全生殖医療の治療法の中で一番高いことが統計で証明
IFC卵子提供では2015年現在、着床前全染色体診断(CCS)の同時実施をご希望の患者様が100%となっています。
また、CCS同時実施の場合、一回の胚移植サイクルにおいて1個の染色体正常胚盤胞を移植することによる成功率は、およそ75%という極めて高い数値を安定して挙げています。
このように高い成功率を誇る卵子提供ですが、他人の卵子を子宮内に入れるのですから、拒絶反応が起こる可能性はあります。
特に妊娠高血圧症などは通常の妊婦に比べてはるかに高い発生率となってますし、その他にも多くのリスクがあるため、卵子提供を考える方は慎重に判断しましょう。