普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくる
養子縁組とは、親子関係のない者同士を、法律上親子関係があるものとすることであり、養子縁組には、普通養子縁組(一般養子縁組)と特別養子縁組の2つがあります。
そのうち、普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のことをいい、この場合における養子を普通養子といいます。
その普通養子縁組の条件には、次のようなものがあります。
20歳以上でなければなりません。
まず、養親となろうとする者は成年に達していなければいけませんので、つまり20歳以上でなければなりません。
ただし、20歳未満の未成年者であっても、婚姻によって、成年に達したとみなされる(これを成年擬制といいます。)
ことから、養親が婚姻している場合は、20歳未満であっても養子縁組が可能となっています。
養親となろうとする者より年長者を養子にすることはできません。
次に、養親となろうとする者の尊属(自分より上の世代の血族のこと)、または養親となろうとする者より年長者を養子にすることはできません。
例えば、場合によっては、自分の叔父にあたる人が自分より年下だったということもあり得ますが、その年下の叔父を養子とすることはできません。
しかし、年長者でなければよく、どれくらい年下である必要があるのかは決まっていませんので、例えばたった1ヶ月年下であっても養子にすることができます。
また、後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の許可が必要となりますが、これは例えば、身寄りのない未成年の子供の後見人となっていた者が、その子と養子縁組をしようとする場合等がこれにあたります。
夫婦がそろって養親とならなければなりません。
次に、養親となろうとする者が結婚しており、養子となる者が未成年であった場合は、夫婦がそろって養親とならなければならず、夫婦の片方だけが養親となるということはできません。
ただし、例えば女性がバツイチ子持ちで、その連れ子を再婚相手の男性が養子にする場合は、その男性と連れ子との養子縁組のみが可能です。
また、配偶者が病気等の理由から、養子縁組の表示意思ができないという場合においても、夫婦の一方のみとの養子縁組が可能となります。
養親となろうとする者に配偶者がいる場合は、その配偶者からの同意が必要です。
普通養子縁組の場合、養子になる者が未成年の場合を除けば、夫婦そろって養親となる必要はなく、例えば養父だけとか、養母だけと養子縁組をすることが可能となっています。
そして、その際は、養子縁組をしない方の配偶者からの同意があれば、養子縁組を結ぶことができます。ただ、もちろん夫婦そろって養親となっても問題ありません。
そして、その配偶者の同意が得られない状態、つまり病気等で表示意思ができないなどの場合においては、同意は必要ではありません。
15歳以上であれば、養子となろうとする者は自分の意思で養子縁組をすることができます
15歳未満の者が養子になるためには、その法定代理人(親権者等、つまりお父さんお母さんなど)から養子縁組の承諾を受けなければなりません。つまり、逆を言えば、15歳以上であれば、養子となろうとする者は自分の意思で養子縁組をすることができます。
ちなみに、養子縁組の手続き上の書類である、養子縁組届には養子自身が届出人となって署名押印する箇所と、法定代理人が届出人となって署名押印する箇所があります。
そして、お父さんとお母さんが離婚してしまった場合、実父を親権者、実母を監護者としてわけていると、養子となろうとする者が15歳未満の場合には、養子縁組の届出人は親権者である実父となり、また監護者である実母の同意が必要となりますので、注意が必要です。
未成年者と養子縁組をする場合は、家庭裁判所からの許可が必要となります。
しかし、例えば配偶者の連れ子と養子縁組をしようとする場合や、自分の直系卑属、つまり認知した婚外子や孫等を養子に迎える場合においては、この許可は不要となります。
さらに、家庭裁判所からの許可は、あくまで普通養子縁組が成立するための条件の一つとなっています。
したがって、許可が出ただけでは、その縁組は成立せず、養子縁組届が受理されて初めて養子縁組の効力が発生することになります。
そして、何より養子縁組の効力が認められるための条件には「届出の受理」が必要不可欠です。
実は、この届出は口頭でもすることができますが、養親となる者、養子となる者、証人の2人が全員役所に出向く必要があります。
養子縁組の家庭裁判所の審判における、許可の基準は、何よりも子の福祉に合致しているか否かです。
そのため、年長や尊属ではないか、養親となる者の年齢条件は満たしているか、などの法律で定められている養子縁組の条件を審査することはもちろん、縁組の動機、実父母の家庭状況、養父母の収入、人格、家庭状況、養子の年齢、日ごろの素行等の細部に渡って審査されます。
したがって、審査を受ける際は、覚悟をして受けるようにしたほうが良いと思います。