様々な事情で育てられない子供が家庭で養育を受けられるようにする特別養子縁組
特別養子縁組とは、児童福祉のための養子縁組の制度で、様々な事情で育てられない子供が家庭で養育を受けられるようにすることを目的に設けられた制度です。
そんな特別養子縁組を成立させるには、さまざまな条件があります。
まず、養親となろうとする者は、結婚しており、そして夫婦が揃って養親とならなければなりません。
また、離縁は原則として禁止です。さらに、特別養子縁組の場合は、普通養子縁組の場合と違い、夫婦の一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上でなければなりません。
ただし、母親の連れ子と、母親の再婚相手が特別養子縁組をしようとする場合においては、その再婚相手とのみ特別養子縁組をすることになります。
養親は子どもが小さい時から思春期時代、そして成人した後も支え見守り続けてくれる、永続的な親の愛情を提供する存在とならなくてはなりません。
そのため、子どもの健全な成長発達にふさわしい家庭環境を提供していくようにする必要があります。
養子となろうとする者は基本的に6歳未満
次に、養子となろうとする者は基本的に6歳未満であり、そして、6歳未満の時点で、特別養子縁組の請求がされていればよく、もし特別養子縁組の審理の途中で6歳を過ぎてたとしても、それについては問題ありません。
そして、養子にしようとしている子が8歳未満であって、6歳になる前から養親となる者から監護療育を受けていたならば、8歳未満であったとしても養子縁組をすることができます。
しかし、あくまで6歳未満から監護が開始されていることが条件です。そのため、6歳を過ぎてから監護を始めた場合は、その子が8歳未満であっても特別養子縁組をすることができません。
また、特別養子縁組を結ぶ際に関しては、実父母の同意が必要となります。
しかし、病気や事故による表示意思の喪失や、行方不明等の理由により、実父母が意思表示できないというケースにおいては、実父母からの同意がなくても大丈夫だということです。
そして、特別養子縁組を結ぶ手続きについては、まず何より家庭裁判所の手続きが必要となります。
また、その家庭裁判所の手続きの中においては、「養親となる者が、養子となる者を6か月以上監護し、状況を考慮しなければならない」という条件が決められています。そして、その家庭裁判所からの審判書の謄本、審判の確定証明書と、そしてこれらを添付した特別養子縁組届を役所に届け出ることが、特別養子縁組の手続きの条件となります。このように、特別養子縁組の場合の条件は、普通養子縁組のそれと比べてより厳格であり、また、特別養子縁組の成立には時間もかかるし、手続きもコツがいると考えられます。したがって、特別養子縁組をお考えの方は、一度、司法書士さんへご相談されてみてはいかがかと思います。
特別養子縁組は、子どもの福祉のためにあるものです。
したがって、「跡取りがほしい」「五体満足の子ども希望」「産みの親に病気がない子、胎内環境がよかった子希望」「子どもさえいれば夫婦関係がうまくいくはずなので」などという養親の希望によって、進められるものではありません。
特別養子縁組になる子どものほとんどは、予期しない妊娠、とくに貧困、強姦、学生、風俗、パートナーの裏切りなど、女性にとってはとても複雑で苦しい状況の中から生まれてくる子どもであるため、愛情豊かに胎内で育まれ、平和な状況で委託に至るというケースはほとんどないといっていいでしょう。
どんな環境で芽生えた命でも、将来的にどんな病気や障害が出ようとも、自分の子どもとして一生責任をもって守り、愛情豊かに育てていくという強い決意が養親には必要となります。
この決意は、自分が出産した子どもの場合でも同じでしょうから、特別養子縁組においてなら、希望する子どもを選べるということはないはずです。
もし、あなたがいまだ見ぬ子の性別・資質・容姿・体質に「なにかを期待」をするならば、子どもはあなたの期待通りになるとはかぎらないから、養子縁組はやめた方が良いかもしれません。