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代理母出産には、サロゲートマザーとホストマザーという二種類の方法があります。

代理母出産とは、子を持ちたい女性(依頼女性)が、生殖医療の技術を用いて妊娠すること、及びその妊娠を継続して出産することを他の女性に依頼し、生まれた子を引き取ることをいい、代理母出産には、サロゲートマザーとホストマザーという二種類の方法があります。

サロゲートマザーとは、一般的に、夫の精子を第三者の子宮に人工授精の手技を用いて注入して懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものとなります。

これに対して、ホストマザーとは、一般的に、妻の卵子を体外受精で行われる採卵の手技を用いて妻の体外に取り出し、夫の精子と受精させ、胚となったものを第三者の子宮に移植することによりこの第三者を懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものとなります。

日本では、現時点において、生殖補助医療を規制する法律はありません。

日本産科婦人科学会の会告によって自己規制されているだけとなっています。
これに対し、諸外国をみてみると、立法化されている国が多く、代理母出産を禁止する国と許容する国がわかれており、代理母出産を禁止している国には、フランス、ドイツ、イタリア、スイス等があります。

その一方で、全面的ないし部分的に代理母出産を許容している国には、イギリス、アメリカ(一部)、オランダ、ベルギー、カナダ、ハンガリー、フィンランド、オーストラリア(一部)、イスラエル、デンマーク、ギリシャ、ルクセンブルク、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、インド、ニュージーランド、ベトナム等があり、こうしてみてみると、先進諸国の中では、部分的にせよ代理母出産を許容している国が多いということがわかります。

前述の日本産科婦人科学会の会告の具体的な内容としては次の通りとなります。

代理母出産について、現在わが国で考えられる態様としては、前述の通り、子を望む不妊夫婦の受精卵を妻以外の女性の子宮に移植する場合(いわゆるホストマザー)と依頼者夫婦の夫の精子を妻以外の女性に人工授精する場合(いわゆるサロゲイトマザー)とがあります。

前者が後者に比べ社会的許容度が高いことを示す調査は存在しますが、両者とも倫理的・法律的・社会的・医学的な多くの問題をはらむ点で共通しています。代理母出産の是非については、その実施は認められません。

対価の授受の有無を問わず、本会会員が代理母出産を望むもののために生殖補助医療を実施したり、その実施に関与してはなりません。
また代理母出産の斡旋を行ってはなりません。

その理由は次の通りとなります。

1)生まれてくる子の福祉を最優先するべきであります。
2)代理母出産は身体的危険性・精神的負担を伴います。
3)家族関係を複雑にします。
4)代理母出産契約は倫理的に社会全体が許容していると認められません。

これらの会告を簡単に言うと「倫理的にも社会的にもまだ日本では代理母出産を行なうまでの社会的コンセンサスを得られない」と判断しています。

これにより日本の大多数の産婦人科医は代理母出産は出来ない事になります。

日本で代理母出産のチャンスはほぼなし

このような現状のため、女性は子宮筋腫やがん治療による子宮全摘も多いのはご存知の通りと思いますが、それらの人は日本で代理母出産のチャンスはなくなります。

そこで今、多くの希望者がアメリカや韓国に治療へ行っている事実があり、ある代理母希望者に話を聞いたところ、子供がほしい人にとっては上記のような倫理や取り決めはまったく自分達の事を考えているのではなく、医者が後々、このような代理母で起きる面倒なことやトラブルを回避するために会告を作ったとしか思えないとのことです。

以前、毎日新聞の記事では下記のような記載がありました。

「不妊治療法の一つで、夫婦の受精卵を第三者の女性に妊娠・出産してもらう「借り腹」について、一般市民の4割以上が容認していることが、厚生労働省の研究班による調査で分かった。
借り腹を含む代理出産については、厚生科学審議会の部会が4月に禁止の方向を打ち出し、今後、厚労省が立法作業に入る生殖補助医療関連法でも禁止される予定だが、意外に容認派が多いことが判明した。

調査は、生殖補助医療技術に関する意識を調べるため、2003年、一般の男女(20~69歳)5840人に調査票を渡し、3647人が回答した(回答率62.4%)。借り腹について「(自分が対象者だったら)利用したい」「配偶者が賛成すれば利用する」と答えた人は計43.3%。99年に実施した同様の調査での31.2%から急増した。

「配偶者が望んでも利用しない」は56.7%だった。(毎日新聞2003年8月9日記事より)」この記事をご覧頂いてわかるとおり、代理母の社会的認知と容認が進んできていることがわかります。

今、法律を作って規制してしまうことが果たしてよいものなのかどうか? 
患者さんやドクターの方からもそのような問いかけがあることは確かです。

代理母もアメリカの場合は非常にボランティア精神のある女性が多く、他人の幸せのために一肌脱ごうという人が多くなっています。

決して快いとはいえない妊娠中の様々な身体の変化や影響についても理解がある上に「子供が持てない人に私の身体が役に立つなら」というコメントを出している方も多くいらっしゃいます。

日本でもそんな心の余裕のあるボランティア精神があるとは思うのですが、制度や法律で取締りがあるとそんな優しい心も生まれるはずがありません。

今後、このようなマイノリティの権利というものがクローズアップされてきます。

その時に「あの時にこんな法律を作ったのは誰だ?」と言われないように先見性を持った、心の通う取り決めを作るようにしてほしいなと思います。


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